髑髏城の七人〜Season月

髑髏城の七人〜Season月〜大千穐楽おめでとうございます!
これから修羅天魔のMy初日!!まだセーフ!!ということで自分用の感想まとめ。半年後とか来年とかにわたしが読み返して楽しむための文章になると思うので読みづらくても悪しからず…。あと上弦に1回しか行かれなかったので、下弦中心になります。よろしくね。

※手元に戯曲本がなくて台詞うろ覚えなので、帰ったらちゃんと確認して直します…

下弦、なにがこんなに好きだったかって登場人物同士の関係が全部好きだったな〜と思う。すごいバランスよかったなぁ。
人間が複数いたらそこには何かしらの関係が結ばれていてその関係って過去・現在・未来って変化していくと思うんだけど、下弦はその人間関係の変遷がわかりやすくて楽しかった。あとその人間関係がすごい好みだったんだよね。

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◆捨之介と霧丸
兄弟とも親友とも家族とも似ているようで違うような、互いが互いにとって恩人で、かけがえのない存在なんだよね。守られてるばかりだった霧丸が最後に捨之介を守るの本当に胸が熱くなりました…。縄を解かれた捨之介と霧丸がガバッと抱きしめ合うの本当に好きだった。
あと結構捨之介スキンシップ多いよね?長男ぽくてよしよしって構いたくなる性質なのかもしれないけど、もしかしたらちゃんと触ってそこにいることを確かめたいのかな、なんて。自分の意思で捨てたものよりも遥かに失ってしまったもののほうが多そうな人だから。そんな捨之介のところにきっとずっと離れないでそばにいてくれると思える霧丸が残ってくれてよかったなぁと思いました。

◆捨・天・蘭
ご本人たちもいろんなところで仰ってるのですが「同じ釜の飯を食べた同門の三兄弟」っていうのがもうたまらなく好きでした。ほんと、信長が生きてた頃のこの3人がすごい想像できるんだよ〜。いちばん初めに下弦観たときは、信長現役時代は3人仲良かったんだろうな…と思ったんだけど、2回目以降はもしかしたらそうでもないかも?と思って。たぶんあの3人のなかで全員仲良しで全員大好き!と思ってたのは捨之介だけなんじゃないかな…?天魔王は表面上は適当にうまくやるし蘭兵衛(というか蘭丸?)の面倒も見てそうだけど、どちらにもいい感情は持ってなさそう。捨之介のことは「苦手」蘭丸のことは「好きじゃない」って感じがする。蘭丸は捨之介にも天魔王にもそこまで興味がなさそう。天魔王の「人という字にお前たち2人を足せば天になる」っていう台詞がすごい好きなんだけど、なるほど下弦天は絶対に言わなさそうだな〜と。むしろ、下弦は捨之介のほうが似合いそう(絶対に言わないのはわかってるけど)。下弦の捨天蘭が仲良いか悪いか、って聞かれたら3人とも違う答えが返ってきそうなのが愛しくも悲しくもある気がします。人間の感情って0か100じゃないから、一緒に過ごした日々の中で「最高の仲間!」と思った瞬間もあれば「なんだこいつ…」って思う瞬間もあるわけで。前向きな感情が強く残ったのが捨之介でよくない感情のほうが残ってるのが天魔王なのかなぁ。蘭兵衛は殿への想いのほうが遥かに強いからなぁ…まとまらなくなってきたな…。でもほんと、信長の存在がものすごく強く感じられる髑髏城だなって思いました。最後の家康の「秀吉は信長の亡霊に取り憑かれて〜」ってところ、捨天蘭が8年も捨られなかったうえに天下に王手をかけた男ですら恐れる信長。髑髏城ゼロやってくれ〜〜〜〜!!!!!

◆蘭兵衛と極楽太夫
本当に愛に溢れた2人だったなぁと思います。恋人同士のような姉弟のような、お互いがお互いを守ってきたんだろうな〜って。
えっねぇこの2人にしぬほどときめいた話していい!?いいよね!?柳の下の、「三途の川に〜捨〜之介〜」って太夫が蘭兵衛の手を背負い投げみたいにするところ、あの辺、手の大きさ…全然違くて…ときめきがとまらなくて…さらに蘭兵衛が太夫のこと抱きしめるから…本当に動悸がすごくて…でもあの場面本当に切ないよね。太夫は蘭兵衛が髑髏城に行こうとしてることに気づいてて、たぶん止められないことも気づいてて…蘭兵衛だって太夫をはじめとした無界の里を愛してて、愛してるからこそ辛いなぁと思います。もし蘭兵衛がなんの未練も想いもなく無界屋から去ったなら恩を仇で返しやがって…って感じだけど、出て行くときも微笑んで礼をして、最後まで本当に守るつもりだったのかなと。蘭兵衛もしかしたら鉄砲300丁と自分の身を無界の里と引き換えに売るつもりだったのかなって思った。天魔王にとっての自分自身をどれくらい価値があるものだと思ってるかわからないけど、気心の知れた者同士で戦の経験がある人は多いほうが有利だとは考えそう。自分が天魔王について、無界屋には手を出さないようにしてもらうつもりだったのかなって思いました。それが何気に蘭兵衛にとってのいいとこ取りだったりするのかなって。自分を助けてくれた愛する無界屋を守って、殿の悲願も達成できるから…。ん〜やっぱりなんとなく詰めが甘くて、でもそこが可愛がられるところでもあったのかな。
事切れた蘭兵衛の手のひらを太夫が泣きながらこすって拭ってるのが印象的だった。血まみれの手を綺麗にしてあげてるんだね…ひどいことされても最期まで蘭兵衛を愛して寄り添った太夫が切ない。蘭兵衛は目を斬られて見えない状態で太夫を呼んでたのかと思うと辛いなぁ。2月入ってからは撃たれて倒れるときに微笑むようになって、捨之介が目を閉じてあげると無界屋にいたときと同じ優しい顔になるのがずるかった。太夫に、愛し合った人に極楽に送ってもらって幸せそうに死ぬの本当にしんどかったです…。
あとわたしの趣味なんですけどエスコート…エスコートほんっっっとうに好きなのでカーテンコール毎度本当にありがとうございました…本編しんどいぶんいつも救われてたし本当にときめきました…ありがとう…ありがとう…。

◆兵庫と極楽太夫
この2人めっちゃ好きです。髑髏城に乗り込んで草月のところで「あいつボッコボコにして!!!」「おーちーつーいーて!」ってやりとりしてる対等っぽい2人が可愛くてほんと好き。「熊木も雑賀も山の民」ってことはそもそもそんなにお淑やかって感じでもない気がするので、おてんばっぽくて素の『りんどう』がちょっと垣間見える感じがなんか好きです。あとたまに兵庫に手引かれてたよね?髑髏城を脱出するところとか。
1幕の顔見世でガストンみたいな兵庫と、ちょっとお高くとまったツンとした感じの太夫も大好き。はじめのほうの駆け引きっぽい2人の関係もたまらないです。黄泉の笛で兵庫は太夫が蘭兵衛のことを悩んでるの気づいてて、でも自分は何もできないことをわかって落ち込んだりしてるんだよね…。でも太夫は無界屋襲撃前の荒武者隊がいん平に「やってることは無茶苦茶だけど筋は通ってる!」って訴えるところで優しい表情で頷いてて、兵庫のことちゃんと認めてるのね。
荒武者隊の死に狼狽する兵庫を一発ビンタして「弱いもん守るのがー!荒武者隊だー!」って、自分だって辛いのに誰かを立ち上がらせなくてはならない太夫の運命を思うとますます泣ける。ずっと誰かを支えてた彼女を、『みんなが慕う『極楽太夫』はなく一人の女性の『りんどう』を愛して支えてくれる存在がいてくれて、それが兵庫でよかったなぁっていつもしみじみ思ってました。
そういえば太夫の秘密兵器『輪胴轟雷筒』って、初めて耳で聞いたときは本名の『りんどう』が隠されてるのかと思って、じゃあもしかして太夫は蘭兵衛に本当の名前を教えてなかった…?と思ったんだけど違うっぽい気がしてきた。
2人とも、幸せになってね〜〜!!!

◆蘭兵衛と兵庫
この2人のなんとも言えない間柄がなにげに好きだった。
ほとんど絡まないけど、お互いに悪い感情持ってなかったよね?それどころか結構2人とも相手のことを気に入ってそう。蘭兵衛も兵庫もそれぞれ今まで出会ったことがないタイプな気がする。兵庫からは蘭兵衛はどう見えてたんだろう。無界屋襲撃の「どうしてお前が太夫を悲しませる!?」って台詞が印象的で、それってつまり太夫を幸せにしてるって認めてたんだろうなぁと。「22万回ぶん殴る!」のところで「お前に言ってるよ、聞いてあげなさい」と言わんばかりにそっと太夫のことを前に押し出す蘭兵衛が大好きでした。なに余裕ぶちかましてるんだ。蘭兵衛から見た兵庫はどうだろう。刺激的で面白かったのかなと思うけど。狸穴さんの兵庫に対する「今最ももののふらしいもののふ」って言葉を、「武士を捨て」た蘭兵衛はどんな気持ちで聞いてたのかな…とか考えちゃうね。

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他にも好きだったのたくさんある。と正体を知ってる者同士さりげなく駆け引きしてる捨之介と狸穴さんとか、蘭兵衛とハイタッチするおきりとか。


あとその他の思ったこと備忘録。

◇渡京のこと
下弦の渡京大好きでした。初め見たときはう〜んやっぱり粟根さんかな…と思ったんだけど次に見たときになんかめちゃくちゃ面白くて、えっ好き!!ってなった。頭脳じゃなくて本能で生きてきた感じが好きです。裏切りこそが彼の本質で、でも心底憎まれるわけでもないような絶妙な小悪党感。伊達渡京の最後の「裏切り渡京と人は呼ぶ…あばよっ!」の笑顔が、渡京なりの捨之介や霧丸や兵庫への愛着が感じられて好きだったなぁ。あの台詞を聞くといつもあぁ今回の髑髏城が終わってしまう…と思ってました。

◇「これからは鎌も鍬も刀と見よう」
これ2.5次元舞台を中心に活動してる俳優さんが多いから追加された台詞なのかな〜とちょっと思った。

◇宮野捨のカッコよすぎるタイトルバック
「浮世の義理も 昔の縁も!!ぁ、三途の川に!!!!…捨之介だ…」っていう、最後にちょっと声を抜くあのタイトルバックが本当にかっこ良すぎて毎回ものすごい脳内麻薬出てた気がします。

◇挿入歌すごい好き
羽野晶紀さんの歌声初めて聴いたんですがすっごい可愛いですね…黄泉の笛大好きすぎてときどき脳内再生してるしもう一度聴きたくて本当に生き地獄なんですけど。あと「明日に向かう刃」も好き。サントラください…。

◇エゲレスとの文通と衣装のこと
生澤さんの衣装すごく楽しみだったんですよ。
レディ・ベスや1789の衣装がすごく好きで。デコラティブで緻密で、一人ひとりキャラが立ってる感じ。史実に寄せてリアリティを出すよりも、その役のアイデンティティ全開なのが髑髏城にめちゃめちゃ合いそうだな〜って楽しみだったのに…なにあれ…なんでロミジュリ2017風味になってしまったんだ…お城にいるときの天魔王様の服見た瞬間なぜかダンスオブヴァンパイア〜!って思いました。まだ見たことないのに。吉野圭吾さんがよく着てるやつだよね。
でも個人的に生澤さんでよかったな〜って思ったことがあって、それは2017年にレディ・ベスがやってたことなんですよ。イギリスのクイーン・エリザベス1世を主人公としたミュージカルなんだけど、劇中で天魔王が「スペインの無敵艦隊を破って」って言ってるエゲレスはエリザベス1世が治めていて、彼女と天魔王は手紙でやりとりしてるんですね。レディ・ベスも衣装が生澤さんなので、すごい地続き感があって興奮するな〜って。

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他にも思い出したら加筆しますね!
とにかく楽しかった髑髏城season月。ありがとう。


なんか演劇って奇跡だな〜って思うんですよね。演者さんやスタッフさんたちがいろいろなお仕事をするなかでタイミングやキャリアがぴったりあって、1週間や1ヶ月や、もっと長いと半年くらいの間ひとつのお芝居を熟成させながらこちらに届けてくれるの。なにかひとつでもずれてたら自分はあの作品を観られなかったんだな、と思うとすごいことだなぁとふと思いました。